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PM(プロパティマネージャー)に求められる最低限の不動産投資知識②
不動産投資の目的と節税
以前の記事に引き続き、PMに必要な不動産投資知識について解説していきます。今回は主に以下の2点を中心にお伝えします。
- 不動産投資の目的
- 不動産投資を活用した節税
それでは順番に見ていきましょう。
不動産投資の目的とは?
不動産投資をされる方の目的は様々です。目的やその方の状況により、保有する物件の条件も異なります。以下に主な目的とそれぞれに合った投資スタイルをご紹介します。
資産形成
本業以外に安定した収益源を作りたいという方に多いパターンです。将来の備えや早期リタイア、豊かなライフスタイルのために資産を構築することが目的です。
- 主な対象者:年収1,000万円前後〜の勤め人
- 投資物件:中古アパート・中古マンションなど
- 特徴:利回りの高い物件を高融資比率で取得し、キャッシュフローを重視
資産運用
既にある資産をさらに拡大させたいという方に多いケースです。現金や有価証券だけでなく、不動産を含めた運用によって資産全体の価値を高めます。
- 主な対象者:年収2,000万円以上の富裕層(外資系金融マン・士業など)
- 投資物件:中古アパート・一棟マンション
- 特徴:キャッシュフローと節税効果のバランスを重視
所得税対策
高所得者が、所得税を抑えるために不動産投資を活用するパターンです。減価償却費を活かして会計上の赤字をつくり、給与所得と損益通算します。
- 主な対象者:年収2,000万円以上の高額所得者
- 投資物件:築古の木造・鉄骨アパート、一棟マンションなど
- 特徴:節税効果を狙い、法定耐用年数超え物件の減価償却を活用
相続税対策
ご高齢の方や資産家が、現金などの資産を不動産に変換することで相続税評価額を下げ、税負担を軽減するパターンです。
- 主な対象者:資産5,000万円以上の方
- 投資物件:RC一棟マンション、区分マンション、テナントビルなど
- 特徴:評価額と実際の価格の乖離を活用して、相続税を抑制
不動産投資による節税方法
ここからは、特に投資家の関心が高い「節税効果」について詳しく説明していきます。
所得税対策としての不動産活用
以下のような方々がターゲットとなります。
- 外資系コンサル・金融マン
- 上場企業の役員
- 士業・勤務医など年収2,000万円以上の方
築古物件(木造・鉄骨)の減価償却費を活用し、会計上で赤字を計上。給与所得と相殺することで課税対象所得を圧縮し、所得税を削減します。
ポイント:
- 減価償却費:会計上の費用を増やし赤字を作る
- 損益通算:給与所得のプラスと、不動産収入のマイナスを相殺
- 繰り延べ効果:将来の売却時に課税(譲渡税)されるため、節税は一時的
譲渡税の考え方
- 購入から5年以内の売却:税率約40%
- 購入から5年超の売却:税率約20%
節税シミュレーション(簡易)
以下はシンプルな例での試算です。
物件概要:
- 築30年木造アパート
- 物件価格:4,000万円
- 年間家賃収入:400万円
- 売却価格:4,000万円
所有者:
- 年間所得:5,000万円
- 所得税率:50%
効果概要:
- 所得税繰り延べ額:約400万円(毎年)
- 売却時の譲渡税:約800万円
- 節税効果:繰り延べによるキャッシュの確保+税率差の活用
※ 実際の節税効果は個別の状況により異なります。
まとめ
今回は「不動産投資の目的」と「節税効果」について解説しました。少し専門的な内容もありましたが、PMとしてオーナー様と対等に会話し、信頼を得るためには非常に重要な知識です。
次回以降も、PMに必要な不動産投資の知識をさらに深堀りしていく予定です。